司法書士試験合格体験記 僕の合格体験記 

中村領太 様

僕は令和 2 年度の司法書士試験に4回目の挑戦で合格することができました。そして、司法書士試験の後、1ヶ月の勉強で行政書士試験にも合格することができました。短期合格というわけでもなく、偉そうなことは言えませんが、少しでも司法書士試験の勉強をされている方やこれから司法書士試験に挑戦しようか検討中の方の参考になればと思い、受験勉強について書いていきたいと思います。まず、僕は学生時代全くと言っていいほど勉強ができませんでした。そんな僕がなぜ難関資格である司法書士の資格を取ろうと思ったかと言えば、資格をとって独立して法律を使った仕事をしたいと思ったからです。もし、司法書士の仕事に興味はあるけど難しそうだから挑戦しようか迷っているという人がいるなら、僕でも合格することができたのだからぜひ挑戦して欲しいと思います。受験生活を振り返って僕がなぜ合格できたのか考えてみると、自分の勉強法を徹底できたということが一番大きかったと思います。勉強方法については後で詳しく書きますが、僕の勉強の中心はノート整理でした。1年目から講義の内容や過去問の知識、間違えやすいことなどをノートにまとめて、そのノートの内容と同じことを再現できるまで白い紙に書き出すという練習を合格するまで4年間やり続けました。「テキストを読み込む」とか「過去問を覚えるまでやる」みたいなことは一切しませんでした。もちろん、僕の勉強法が全ての受験生に最適だとは思わないです。が、自分にあった勉強法を見つけて最後まで徹底するということが大事だと思います。


勉強時間について

よく予備校のパンフレットやインターネットなどで「司法書士試験に受かるには 勉強時間が何千時間必要」とか「1 日何時間勉強しなければ合格できない」とかいうのを見かけますが、僕は 1 日に何時間は勉強しないといけないとかは考えていませんでした。 自分のその日の持ち時間を把握して予定を立て、優先順位の高いものから勉 強に取りかかるようにしました。実際にはアルバイトを週4日ぐらいしながらの受験勉強だったため、アルバイトのある日は1日4時間ぐらいの勉強時間で休みの日は7時間ぐらいの勉強時間だったと思います。勉強時間を多く取ろうみたいなことは考えませんでしたが、1週間に1回は自分の勉強を振り返る時間を取るようにしていました。そうすることで常に自分の弱点や課題を把握して勉強を進められたと思います。

受講した講座・使用教材について

僕が受講した講座は1・2年目は木村先生の基礎講座、3年目は木村先生の中上級講座を受講しました。初めて講座を受講する際にはいくつかの予備校の講義のガイダンスに参加しましたが、木村先生の講義は他の予備校の講座とは全く違うものでした。多くの情報や知識を受講生に提供して「全て頭に入れておいて下さい」というものではなく、本試験に必要なレベルの知識に絞って講義をしてくれたので効率よく学習を進められました。実際に僕は本試験で午前34問・午後29問正解しましたが、9割近くは木村先生の基礎講座で学んだ知識で正解することができました。それと、講義の中で法律の科目ごとに適した勉強法も教えてくれるので、すんなりと法律知識が頭に入ってきました。例えば、民法であれば原則と例外を意識して条文を読むことや会社法は合理化と適正化の組み合わせで条文が構成されていること、刑法であれば客観と主観の組み合わせで犯罪が決まるなど、科目ごとに違う視点をもって勉強をすると難しい問題も解けるようになりました。とはいっても、初めからそういった視点を生かして法律の勉強ができていたわけではなく、1年目・2年目は言葉では理解できても問題を解く時に活かせてませんでした。それでも「自分にはこれはできない」と諦めるのではなく、絶対にできるようになってやろうと思いながら勉強していました。すると3年目に法律の特徴がわかってきて、より勉強が楽しくなりました。


勉強方法について先ほども書きましたが、僕はテキストを読んで勉強するということはしませんでした。不動産登記法の申請書の書き方や商業登記法の登記記録の勉強の際にはテキストで確認はしましたが、基本的にテキストで内容をインプットしたり復習したりはしませんでした。その理由は、テキストには多くのことが書いてあるため、テキストを読んで勉強してしまうと、時間をかけるだけで頭に残らない気がしたからです。僕が 1 番大事にしたのは講義です。講義を聞いてメモを取り、その日の講義の内容をノートにまとめて、そのまとめた内容を白い紙に自分で書き出せるようになるまで反復しました。とはいえ、初めから講義の内容を全て理解して紙に書き出せていたわけではなく、なかなか定着しない場合はあらかじめ紙にキーワードだけ残しておいて、それを見て書き出せるようにと工夫しました。正直、講義の内容を完璧に頭に入れることができれば、後は過去問を通じて本試験はどういう問い方をしてくるかの確認をするだけで十分だと思います。そのかわり、講義の内容を理解することは一切妥協せず、わからないことは何回も何回も木村先生に質問に行きました。だから僕の日ごろの勉強は講義・過去問・条文のみで、直前期には過去問の割合が増えたり、条文を丁寧に見るようにしたりしたぐらいで、いろんな教材をやったり、他の講座を受講したりはしませんでした。
過去問について僕が受験勉強で 1 番工夫したのは過去問の取り組み方です。まず、僕は 1 年目からガンガン過去問を解いていたというわけではなく、1 年目の基礎講座が始まってから半年後くらいから始めました。それまでは問題よりも基礎的な内容を頭に入れることに集中していました。初めて過去問を目にした時は自分が勉強していることと問題で聞かれていることが結びつかず、お手上げ状態でした。なので、過去問の⚪︎か×かを考えるのではなく、この問題は何の論点の話か?ということを特定する練習をしました。例えば、「この問題は無権代理と相続の問題で無権代理人が本人を相続した場合の話だ」とか「この問題は会社分割で債権者異議手続が必要かどうかの話だ」とかを答える練習です。結果的にこの練習をすることにより、本試験でも素早く答えることができ、午後の部でも時間に苦しめられることはありませんでした。そして、ある程度過去問を読むのに慣れてきたころには、過去問で問われている条文も読んで、次に問われるとしたらここを聞いてくるんじゃないかというような視点で過去問学習を進めました。それがばっちり本試験で的中したわけではありませんでしたが、常に過去問を通じて幅広い知識の確認ができて本試験でも問題を見ても焦ることはありませんでした。
直前期について直前期もあまりやることは変わりませんでしたが、なるべくたくさんの論点に触れるようにスピードは意識しました。具体的には同じ論点の勉強を 30 分以上はしないと決めて、予定してたところまで終わらなくても 30 分が経てば他の論点に移る、というのを繰り返しました。あとは過去問の割合を増やして、日ごろからやっていた白い紙にノートの内容を書き出すという練習は直前期も繰り返しました。直前期は「誰でも知ってることを誰よりも早く、確実に」という意識が大事だと思います。
本試験について直前期は今までで 1 番緊張したり、焦りやプレッシャーも感じましたが、目の前の1問に集中しようと決めていたので試験が始まってからは思ったよりも緊張はしませんでした。本試験は予想外の所から出題されることも多く、今年でいえば憲法の「適正手続の保障」や民法の「定型約款」、会社法の「匿名組合」などは普段あまり勉強しない論点で多くの受験生が苦しんだ問題であったと思いますが、僕は難なく解くことができました。その理由は本試験への準備だと思います。よく本試験前に予想論点の講座とかを色々な予備校でやっていますが、僕はそういった講座を受けることが準備だとは思いません。予想した論点が出ることと、正解できることは別で、論点を予想することよりも、ここが出たらこういう視点で問題を解いていこうと対策をするのが準備だと思います。だから直前期に論点予想の講座は受けませんでしたが、この論点がもし出たらこういうふうに解こうというシュミレーションは全ての論点でやりました。午前の部は完璧という感じではなかったですが、ある程度の手応えは感じて終えました。次に、昼休憩の過ごし方ですが、午後の択一の確認は一切せず記述式の注意事項をまとめたノートをずっと見返していました。おかげで記述式は枠ズレもなく時間内に解くことができました。午後の部は記述式には何時何分に入って択一の最後の確認を何時何分にやってという計画はしっかり確認し、後は午前と同じように 1 問 1 問に集中して急がずに問題を見るというのを心がけていました。
最後に受験生活を振り返って、「本当に合格できるのかな」と思った時期もありましたが、合格することができました。合格するまでは不安は絶対あるし、直前期は焦ったりもします。大事なのは不安や緊張から逃げず、緊張しても十分合格できる実力をつけることに集中することだと思います。よく木村先生に「合格は 1 日 1 日の合格の積み重ね」と言われましたが、不安を軽くする 1 番の方法は目の前のことに集中することだと思います。僕は普段の勉強では今やるべきことに集中して余計なことは考えない、試験中は目の前の 1 問に集中するという意識を常に持っていました。勉強仲間と不安な気持ちを共有することも大事です。受験生としてはあまりよくないかもしれませんが、僕は直前期に勉強時間より勉強仲間と喋ってる時間の方が長いという日が何日もありました。それでも同じ目的をもつ仲間との雑談は自然と勉強の話になるので全く無駄な時間ではなかったと思います。この試験は本当にやることが多く、内容も決して簡単ではない大変な試験ですが、それだけ価値も大きいと思います。司法書士になってからも勉強三昧だと思いますが、好きで始めた勉強だと思うので、法律の勉強を楽しんで、ぜひ今年の試験の合格を勝ち取ってください